身の回りには様々な形のエネルギーがあります。電気や熱のエネルギーだけでなく、物を動かしてくれる運動エネルギーのような力学的エネルギーもあります。高いところにある物は重力によって落下しますが、これも力学的エネルギーの1つで位置エネルギーと呼ばれています。糸に吊るされた重りをある高さで離すと振り子のように揺れが繰りかえされるのは位置エネルギーと運動エネルギーが転換されることを利用しています。
ばねによる弾性エネルギーも位置エネルギーの1つと考えられています。ばねに重りをつけた状態でばねを引き延ばして手を離すと、振り子のような運動が起こります。これはばねが伸ばされたことによって蓄えらた弾性エネルギーと運動エネルギーの転換を使っています。
カンガルーがぴょんぴょんと跳び続けても疲れないのは、この弾性エネルギーを上手に使っているからです(こちらの記事参照)。つまり、筋肉によるエネルギーだけではなく、筋肉を骨につないでいる腱がわずかに伸ばされることによって生まれる弾性エネルギーを使うことで省エネができるのです。
身体には筋肉と骨だけではなく、腱や靭帯、筋膜などの結合組織があります。能動的に動かす筋肉と異なり、結合組織は受動的に動かされます。つまり、結合組織は脳が指令を出して伸ばしたり縮まったりするのではなく、筋肉や関節など周囲が動くことによって結合組織は動かされます。化学エネルギーがたくさん必要な筋肉ばかりを使って動くのではなく、腱などの結合組織からの弾性エネルギーを使って動きをより効率的にしていきましょう。