てこの原理というと、
重たい物体を小さな力で持ち上げることができる、このような図を思い浮かべるでしょう。シーソーだけではなく、ハサミやくぎ抜きなど、てこの原理を使った物は身近に多くあります。シーソーのようなてこの場合、支点から作用点(重り)までの距離が短く、支点から力点(力を加える点)までの距離が長い方が力学的に有利となります。
てこは物だけではなく、わたし達の身体の中にもあります。首と頭をつなぐ関節もその1つの例。この関節を支点として、首の後ろの筋肉が力点、頭の重さが作用点(重り)と考えることができます。先のてこの例のように、頭の重さが支点の近くにあれば力学的には少ない力で支えることができますが、頭が前へ移動したような場合、同じ頭の重さを支えるためにより多くの力が必要となります。
スマホを使った時に起こるような”ストレートネック”は首に悪いということが良く言われるようになりました。良い姿勢であれば頚椎にかかる力は4~5kgであるのに対し、首が15度傾いた状態ではそれが2倍~3倍、45度も傾くと5倍近くになるというデータがあります。てこの原理を元にして考えてみると、負荷が大きくなりそうだということは容易に予測ができます。
わたし達の身体には他の物質、物体と同じように、様々な力学的な力が常にかかっています。今日から身体運動学のクラスが始まり今日は学生の頃に習ったような力学の復習をしました。身体の動きを理解しようとした時に、このような物理的な要素も含めて考えることで動きの分析に役立つのではないかと思います。8月まで長い期間ですが、楽しい学びの時間になるように頑張りたいと思います。